リーダーズVOICE(10) 石川県内には、数多くのNPOが活動しています。このコーナーでは、県内のNPOのリーダーにインタビューし、特色や現状などをシリーズで紹介します。今回は、奥能登で地元の特産物や自然環境を生かした地域活性化に取り組む「春蘭の里実行委員会」の会長、中本安昭さんにお話をうかがいました。

「身近な自然を生かし、魅力あふれるふるさとを創造したい」

春蘭の里実行委員会会長 中本安昭さん

春蘭の栽培を軸に自然と触れ合う事業を展開

―― 春蘭の里実行委員会とはどんな団体ですか?
中本 能都町の野山に自生し、これまでは見過ごされてきた春蘭を村おこしに利用していこうと、地域住民の有志を中心に平成8年9月に発足しました。実行委員は現在12名で、会社員や建設業、林業、輪島塗の蒔絵師など多彩なメンバーが参加し、それぞれの本業や得意分野などを生かして活動しています。

―― 具体的な活動内容を教えてください。
中本 花の保護も兼ねて、自生種の春蘭1万株をハウスで栽培し、毎年春になると、春蘭の里の会員さんに1人1株ずつ送っています。会員には、年会費15000円を納めればだれでもなることができ、県内はもちろん、関東や関西、九州など全国に会員の輪が広がっています。ほかにも、春には山菜、秋には地元産のはざがけした米やキノコ、冬には餅と正月飾りを発送し、能都町の自然の恵みを会員の家庭に届けています。

―― 春蘭だけでなく、地元の食材や自然資源をさまざまに活用しているんですね。
中本 はい。特産品では、地元の米と水で作った日本酒や木炭などの商品を開発し、「春蘭の里」ブランドで販売しています。メンバーの自宅を改装した民宿「春蘭の宿」は、お客は1日1組だけ、お1人様でも貸し切りできるユニークな宿です。キノコ狩りに出かけたり、輪島塗の食器で旬の山菜料理を楽しんだりでき、年を追うごとに利用者が増えています。また、県、市町村、民間団体が連携して行う自然体験プログラム「いしかわ自然学校」でのエコロジーキャンプの主催や、里山の保全運動を通して、住民が身近な自然のすばらしさを再認識し、ふるさとへの誇りを取り戻すための活動も推進しています。

[写真]いしかわ自然学校
「いしかわ自然学校」のキャンプでは、子どもたちが農村生活を体験

―― それらの活動により、どんな効果を期待していますか?
中本 能登地区では、若者の流出による過疎と高齢化が深刻になっています。地域ならではの産業を生み出し、美しい自然環境を育んでいくことで、若者も住んでみたいと思うような地域にしたいですね。7月に開港する能登空港を中心に、ほかの市町村のまちづくり運動の組織とも連携して、能登全体の活性化につなげていけたらと思います。

事業内容の複合化で収入の安定を目指す

―― 活動を続ける上での課題は何ですか?
中本 やはり、資金面の問題でしょう。現状では会員が年に150人程度で、会費収入だけでは運転資金がまかなえないため、能都町からのまちづくり事業支援の助成金や実行委員会メンバーの積立金で運営している状況です。

―― では、その対応策は?
中本 ホームページなどを使ったPRにより、活動の周知と会員数の増加を図る一方、ドイツのクラインガルテン(市民農園)のように、地区内にある空き家となった農家を農地ごと別荘として貸し出すといった新事業を検討中です。事業展開をより複合的にして収益を安定させ、資金を確保したいと考えています。

―― 今後の活動目標は?
中本 春蘭の里構想には、全国の春蘭を集めた観察ドームの建設や地元に語り継がれる民話の伝承などさまざまな計画があり、その実現に向けて、実行委員が一丸となって努力していきます。地域の皆さんのご協力もいただきながら、魅力ある人々が暮らす、魅力ある地域づくりを進めていくつもりです。

プロフィール
[写真]中本安昭さん 中本 安昭さん (なかもと やすあき)
能都町在住。 東京で生まれ育ち、昭和50年、奥さんの実家のある能都町に。山歩きなどを通じて、豊かな自然に魅せられる。平成5年、農林水産省の中山間地域活性化事業で地区委員となり、春蘭を利用した地域づくりを提案。春蘭の里構想のきっかけをつくった。実行委員会では、発足時から会長を務めている。

【お問い合わせ】春蘭の里実行委員会
能都町字宮地 TEL 0768 (67) 8001

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