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第1章 NPOとは何か
〜NPOを正確に理解することが協働のはじまりです〜

1 NPOの定義について
 NPOとは、英語のNon-Profit Organization の頭文字をとった略で、日本語に訳すと「非営利組織」となります。株式会社などの営利を追求する企業とは異なり、文字どおり営利を目的としない組織ということです。
 国や県をはじめとする自治体も同じ非営利の組織ですから、これらと区分するために、NPOは「民間非営利組織」と通常呼ばれています。
 なお、特定非営利活動促進法(NPO法)により認証を受けた特定非営利活動法人(NPO法人)のみがNPOと思われている状況がみられますが、法人格を持たない任意団体も要件を満たしていればNPOと呼ばれます。
 平成12年8月に県民文化局において策定した「NPO活動の促進に関する基本指針」では、NPO活動を「社会的な使命の達成を目的に、市民が連携し、自発的かつ非営利で行う社会的、公益的活動」としてとらえ、そうした活動を継続的に行っている民間の組織、団体を「NPO」と定義しており、政治・宗教活動を主目的とするものや特定の個人・団体の利益を目的とするものは除くことにしています。したがって「ボランティア団体」、「市民活動団体」、「NGO」などが該当することになり、本書でも、このような定義によりNPOをとらえています。
 NPOについて要件をもう少し詳しく説明すると次のとおりです。

(1) 営利を目的としないこと
 「営利を目的としない」というと、利益の上がる事業をしないこととよく勘違いされます。しかし、これは企業が上がった利益を株主や社員に分配することを目的としていることに対して、「利益が上がっても関係者に分配しない」という意味です。利益の上がる事業を行っても、その儲けを関係者に分配せずに次の事業や活動に充てる場合は「非営利」ということになります。
 実際に、介護サービスを有料で提供したり、ものを販売して利益を上げ、活動資金に充てているNPOはたくさんあります。NPOだから有料でサービスを提供してはいけないとか、ものを売ってはいけないということではありません。
 なお、NPOが活発に継続的に活動していくためには、有給スタッフが不可欠ですが、労働の対価として支払われる給与、賃金等は「利益の分配」にはあたらず、活動の必要経費とされています。

<NPOの目的>
 NPOは何を目的に活動しているのでしょうか。
 それは、利益の追求ではなく、社会的な使命(ミッション)の実現にあるのです。
 社会の様々な課題に対して、自ら何を行うべきかを考え、自らの意思で活動を起こさずにはいられない人たちが集まって、社会的使命を達成しようと活動する組織体をNPOと呼んでいるのです。

(2) 組織であること
 フォーマルな「組織」であることがNPOの重要な要件の一つになります。会則があり、代表者や役員を置くほか、会計・経理がきちんとなされるなど組織的な整備がされていることが必要で、そのようなものがない一度限りの集まりなどはNPOとは言いません。
 また、NPOとボランティアの違いが分からないという声がよく聞かれます。いずれも、自主的、自発的に非営利の活動を行うということでは同じですが、基本的に、NPOは組織、ボランティアは個人を指します。行政は組織ですから、協働の相手方は組織であるNPOとなることに注意が必要です。

<NGOとNGOの関係>
 NGOとNPOがどう違うのかということがよく言われますが、NGOはNon-Governmental Organization の頭文字をとったもので、日本語に訳すると「非政府組織」ということになります。
 NGOは、もともと国連で使われはじめた言葉で、国連では国際的な問題を解決する担い手として、早くから政府とは別の民間組織としてその役割が認められてきました。また、最近では、地球サミットや地球温暖化防止京都会議などの国際会議で、政策立案者として政府と並び重要な存在となっています。
 このように、NGOは政府ではない民間の市民による組織、つまり非政府という観点から使われている用語であり、当然に利益を目的とする組織ではないことから、本質的にはNPOです。
最近は環境、人権、教育などの国際協力の分野で活躍するNPOをNGOと呼ぶことが多くなっています。

2 NPOの特性
 NPOは「自主性」、「個別性」、「先駆性」、「迅速性」、「柔軟性」、「多元性」など種々の特性を持っており、行政の持つ公平性や企業の利潤追求という社会的価値にとらわれず、社会的課題に対して、迅速で先駆的な取り組みができると言われています。それぞれの組織が持つ多様な価値観に基づく自由な意思により、個別的で柔軟なサービスの提供が可能です。また、こうした取り組みから社会への問題意識を持ち、行政や企業に対して市民の立場からチェックをし、独自の提言が行えるのもNPOの特性と言えるでしょう。
 このようなことから、NPOは、行政(第1セクター)、企業(第2セクター)と並ぶ第3のセクターとして期待され、これからの社会では、これらがバランスよく機能していくことで、豊かで活力のある社会が構築されていくものと考えられています。
 NPOとの協働を進めるうえにおいて、この3つのセクターの特性の違いを理解しておくことは、大変重要なことです。
 なお、第3セクターという言葉は、わが国では国や自治体と民間企業等が共同出資で設立した事業体を指すとの考え方が一般的ですが、前述の観点からNPOなどの「市民セクター」も第3セクターと呼ばれるようになっています。
 3つのセクターについて次のような図式が参考となります。

(図-1)

  主体 理念 価値観 行動原理 サービス
の質
第1
セクター
国、地方自治体 公益 社会的使命 平等・公平 画一的
平均的
第2
セクター
企業 私益 経済的価値 利潤追求 対価に
応じて
第3
セクター
公益法人 公益/共益 社会的使命
(経済的価値)
公平・効率 平均的+
対価性
NPO 社会的使命
(個人的、経済的価値)
機動性 個別・多様

(出典:「自治体−NPO政策」松下啓一著 ぎょうせい)